【吃音症】どもりの治療・原因・症状について
- 言いたいのに言葉が出ない
- 言いにくい言葉がある
- 自分の気持ちを自分の言葉で伝える事ができない
- 自分の名前をどもってしまう
- 人と話す事が億劫だ
- 出来ればコミュニケーションをとりたくない
- 普通に話せたら、もっと人生は楽しかったはずだ
人生でこのような事に悩んでいませんか?
もしそうであるならあなたはおそらく、吃音の持ち主でしょう。
吃音。
吃音の辛さは吃音を持っている人でないと解りません。
私は中学生の頃から10年以上吃音に悩まされてきました。
「少しでも吃音をよくしたい」
「今よりもう少しだけで良いから、スムーズに話したい。」
そんなあなたに吃音を治療する方法をご紹介します。
思っている以上に辛い、「吃音」。
足が不自由な人は車椅子に乗っているので障害を持っているとすぐにわかります。
全盲の人はサングラスや杖、盲導犬を連れてを歩いている姿を見ればわかります。
聴覚に障害がある人は手話で話す姿や補聴器を見ればわかります。
足が不自由なのだから仕方ない。
目が見えないのだから仕方ない。
耳が聞こえないのだから仕方ない。
しかし、もし吃音であるならどうでしょう?
社会は当然のように普通の振る舞いを求めてきます。
何故なら健康的な声帯も口も舌も筋肉も全て完璧に備わっているからです。
吃音の辛さはここにあります。
非吃音者に「何故喋れないのか?」「どもるのか?」を理解してもらうのは困難です。
- 「本人の努力不足なのでは?」
- 「心が弱いからだろう」
- 「そういう性格なんだ」
そう言った誤った認識が吃音者にさらに追い打ちをかけている事は想像に難しくないでしょう。
3つの吃音の代表的な症状
吃音の症状は大きく分けて3種類あります
- 連発
- 伸発
- 難発
1 連発
連発とはその名の通り言葉「ア,ア、ア、アイスコーヒーで」
のように言葉の最初のキッカケでどもってしまうことです。
これは必ずしも吃音症でなくても感情的になったりまた緊張していたりするとよく見られる症状です。
2 伸発
伸発とは言葉の最初が伸びてしまうことを言います。
例えば、「アー、ーーーイスコーヒーで」
のように最初のかっかけの一言が伸びる(伸発)症状のことです。
よく人前で話す事に慣れてない人は1の連発と2の伸発が同時多発的に症状として現れる傾向にあります。
「えーー、えーとですね、きょ、きょ今日皆さんにご報告したいのはですね、あーーあの………」
しかしこういった症状は先程述べた通り緊張したりと感情が高まっていたりすると誰にでも起こりうる事でこうなったからといったから吃音だということではありません。
3 難発
これが吃音の最たる症状です。
これは言葉が出ません
おそらく上の1、2は誰にも経験があるかもしれませんがこの難発は吃音独特の症状です。
言葉がでないのです。
おそらく経験のない人のは理解し難いかもしれませんが、言葉が詰まって出て来ないのです。
言いたい事が喉まで来てるのに喋る事が出来ない…。
吃音者を最も苦しめている症状と言えるでしょう。
吃音、どもりの原因は?
独り言で吃音になる人はいません。
また、誰でも熱いヤカンに触れてしまったら普通は「あつっ!」と言います。
どもる人はまずいないでしょう。
歌を歌っている時に吃音がでてしまう人も見た事がありません。
ミュージシャンや俳優、アナウンサーなど、声を出すことを生業としている人ですら過去に吃音で悩まされていた経験を持っています。
吃音の主な4つの原因
1 脳
吃音の原因は脳にあると考えられています。
例えば「青信号」という言葉が上手く発せられなかった時、言いにくい言葉として脳に記憶されます。
再度「青信号」という言葉を発しようとした時に「言いにくい」「間違えた」という記憶が蘇りどもってしまう場合があります。
これを繰り返す内に脳に「吃音回路」が形成され、言葉を発しようとする度にその回路を通る結果、吃音が起こり一種の癖のようにどもりを繰り返すようになります。
2 ストレス
吃音は精神的な要因によって発症する場合があります。
全く知らない人や大勢の前で話す時に不安や緊張を感じ、どもりが出やすくなるように、吃音と心は深く関わっています。
特に大人のになってから難発性格吃音症になる人は強いストレスや外傷体験によって引き起こされる事が多いです。
3 ドーパミン
会話の時に神経伝達物質(ドーパミン、セロトニンなど)の分泌量が急激に上がると、脳の処理が追いつかず正常に会話が出来なくなる事があります。
神経伝達物質の分泌量が増えバランスが崩れると、脳のワーキングメモリ(作業領域)の容量を超えてし まいパソコンがフリーズするように、思考も固まってしまう結果吃音の症状があらわれます。
4 遺伝
吃音は遺伝する可能性があります。
親のどちらかが吃音症の場合、およそ60%の確率で子供が吃音を発生すると言われています。
吃音に関連する遺伝子も発見されており、吃音症の10人中1人からその遺伝子が認められたことからも吃音は遺伝すると考えられてます。
吃音の治療・克服
吃音症は完璧な治療方法が確立されているわけではありません。
しかし、吃音を治すことが不可能なのかと言うと決してそんなことはありません。
小さな積み重ねや何気ない出来事で吃音を治療、完治することができた人はたくさんいます。
ここでは私自身の経験も踏まえた吃音の治療法、改善方法をご紹介します。
(私自身が実際に吃音を治療する事が出来た方法はこちら→【決定版】吃音を改善して”普通に話す自分”に生まれ変わって人生をもう一度やり直す方法!を参照にして下さい)
発声練習をする
吃音だからと言いて話すことを避けたくなる気持ちはよく解りますが、話す習慣が無くなれば無くなるほど声が震えやすくなったり、舌や表情筋がこわばり吃音やどもりに繋がってしまいやすくなります。
家に帰って部屋に一人でいる時や車の中など積極的に声を出してみましょう。
ラジオをつけて、DJとゲストが話している会話に自分も入って喋ってみましょう。
誰も聞いていなし案外楽しいですよ。
またはお気に入りの本を音読してみるのも良いでしょう。(音読を用いた吃音治療法はこちらの記事を参考にしてみて下さい→どもりは「音読」で治す!)
一人の場合は吃音・どもりは出にくいので、スムーズに話している自分の声を自分の耳で確かめるように聞くことで実際の会話でも無意識のうちに出やすくなります。
メロディのように抑揚をつけて話す
話す言葉に感情を込める事で抑揚は自然につきます。
私の経験則からも単調なリズムでモゴモゴ話すほうが吃音は出やすいです。
吃音が出ないように、どもらないようにばかり気を取られているとどうしてもリズム、感情、覇気のない話し方になってしまいます。
話す時に意識して抑揚をつけて話してみましょう。
(話す時の抑揚についてはこちらの記事でも紹介しています→どもりは「抑揚」で治す!)
リラックスして、ゆっくりと話す習慣をつける
吃音の症状が強い人ほどどもったり、言葉が出ないことに強い不安感を持っています。
そうした気持ちから、
「ちゃんと話さなければいけない」
「普通に話さなければならない」
と焦って力が入り、余計にスムーズに話すことが難しくなってしまいます。
緊張は無駄な力を生み身体を硬直させます。
また、どもらないように口早に言葉を出し切ろうとするのも逆効果です。
漫才師のように器用に話す必要はありません。
スムーズに話すよう意識するので無く、一人でいる時のようにリラックスしてゆっくり柔らかく話すよう意識しましょう。
リラックスした話し方に関してはこちらの記事も参考になります→どもりは「脱力、リラックス」で治す!
吃音症を隠そうとしない
私は自分が吃音症であるとわかった時、誰にも話さず相談もしませんでした。
それはひとえに誰にも知られたくなかったからです。
吃音を隠そうとする気持ちはとてもよくわかります。
しかし、吃音を告白する事で吃音に対する不安感や孤独感は確実に減ります。
周りの人から理解されていたり、協力してくれる環境があると吃音に対して前向きな感情を抱きやすくなるからです。
吃音を受け入れた結果、吃音症が改善される事もあります。
どもる時は胸を張ってどもる
吃音症の人は共通して一本調子の単調な話し方をします。
目も泳ぎがちで、声のトーンも下がり気味です。
話す事に大きなコンプレックスを抱いているわけですからある意味当然なのかもしれません。
しかし、吃音であっても声のトーンを下げる必要もなければアイコンタクトをして良い訳です。
必要以上に自分に負い目を感じているためか、悪循環に陥って吃音と関係無いところまで悪い影響が出ているように見えます。
吃音に深刻になればなるほど、吃音の影は大きくなります。
誰だってどもる時はあります。
吃音症であっても自分が思っているほど周りの人は気にしていません。
吃音だからと言って堂々としてはいけないなんて事は無いのです。
どもっても、どもらなくてもありのままを受け入れ堂々としているほうがかえって気持ちは楽になります。
吃音で無く話の中身に集中して、会話を楽しんでみる
言葉をだす。それ自体が目的の場合どうしても意識は
「どもらないか?」
「吃音にならないか?」
そればかりに注目してしまいます。
特に吃音症の人は正しく言葉を発する事が容易で無いため、上手く話せるかどうかに関心が行きがちです。
しかし、会話の本質は言葉を上手に出すかどうかではありません。
会話はただのコミュニケーションです。
それが友人との何気ない会話や職場や重要な仕事に関わる会話であってもです。
関心を向けるべきは上手くどもらずに話せるかどうかではありません。
もっと会話の中身に関心を向けてみましょう。
ちょっと厳しい事を言うかもしれませんが、コミュニケーションは相手の存在がいて初めて成り立ちます。
つまり、自分の吃音にだけ関心を向けているとすれば自分にしか関心が向いていない事になります。
相手の視線を気にしているようで実は「相手にどう思われているか?」と自分のことばかり考えているのです。
自分の吃音だけでなく相手の言葉や仕草にも関心を持ちましょう。
たとえ吃音症であろうがそれが出来れば、今すぐにでもコミュニケーションは成立するはずです。
周りに吃音の人がいたら…
私自身のお話しをさせてください。
今から4年ほど前、初めて自分以外で吃音症の人と関わった経験をしました。
当時、私はなるべく人と関わら無いで済む倉庫内作業をしていました。
同じ倉庫内で働いている「H君」という25歳前後の男性がいたのですが、私の見る限り彼は吃音症を持っているようでした。
いわゆる天然パーで猫背気味の中肉中背、どうやら青が好きらしくいつも青いシャツを好んで着ていました。
彼は滅多にしゃべりません。
喋ってもたどたどしく最初の一言目を連発してしまったり、言葉に詰まる難発性の吃音を持っているようでした。
自分以外の吃音症の人と初めて関わった
自分以外の吃音症の人と間近で接したのは彼か初めてでした。
しかも、彼は自分より症状が重く日常の些細な会話にも支障をきたしているようでした。
「H君」は無口で内気でしたが、真面目でいつもニコニコしていた彼を私は心良く思っていました。
私には「H君」とは正反対の性格の「U君」という唯一の親友がいました。
「U君」は思ったことを何でも口にしてしまうような性格で、それがきっかけで他の作業員とトラブルになる事もしばしばあったのですが、私にとっては頼もしく尊敬できる良い友人した。
そんなある日「U君」との何気ない会話に私は戦慄しました。
U君「あのHってやついるじゃん?あいつと一緒だと仕事つまらないんだよね。何言ってもワンテンポ遅れて返ってくるし、言語障害なんじゃない?笑」
私はハハハと張りのない声をあげるのが精一杯でした。
U君はおそらく吃音を知らないのでしょう。
私はとても心が痛みました。
「自分は吃音である。」
「なんとかごましながらここまでやってきた。」
「けれど、ひょっとしたら自分も同じような事を言われているかもしれない」
そう感じました。
最悪の仕事
私たち3人は4階建ての倉庫の1階部で働いていました。
ある日倉庫の新しい仕事の割り振りで、フロアの代表者1人がトランシーバーのような無線機を持って各フロアの代表者と連絡をやりとりする事になりました。
吃音の私にとってこの仕事は絶対に避けたいものでした。
「自分の声が全フロアの担当者に届いている。しかも相手の姿も顔もわから無い」
そう思うだけで血の気が引く思いでした。
そして案の定、私はこの仕事を引き受けるよう頼まれてしまいました。
「いよいよ仕事を変えよう」
そこまで思いつめました。
私は難発性の吃音でしたが、最初の言葉に詰まると別の言葉に言い換えて難を逃れてきました。
しかし、この無線のやりとりでこれが通用するかは不明でした。
最初はかなりぎこちなく恥ずかしい思いもしましたが、どもりながらもなんとかこなす事ができました。
嬉しい事にやればやるほど自信がついて限りなく普通に話せるようになりました。
やがて私以外の作業員もこの無線係を担当するようになりました。
そんなある日私より重い吃音を持っているH君が無線係を担当することになりました。
そして事件は起きる
私はとても不安でした。
「自分は吃音で苦しんできた。しかし自分より重いH君の吃音が倉庫中のフロアに知れ渡り、彼が恥をかき、心無い言葉を言われてしまうのではないか…..そんな場面見るに堪え無い」
そしていよいよH君が無線をとりやりとりを始めました。
H君の顔は紅潮し震える手で無線を握りしめていました。
「あ、あ、あ、あの……あ、あ、あの、す、すいません」
H君は無線係を降ろされました。
H君を除いたメンバーで無線係をローテーションすることに決まりました。
自分より重い吃音に悩む彼に、私はなにが出来るだろうか?
私はしばらく考え込みました。
あの時のH君の恐怖に強張った顔が、震える手が、声が、脳裏に焼き付いて離れませんでした。
「H君になにかできないか?」
私はそう思いました。
そもそもH君とは仕事に関すること以外ではほとんど話すことがありませんでした。
いつも遠目から自分ではない、吃音症の彼を見ていました。
「何でも相談に乗るよ。困ったことがあれば何でも話してくれよ」
彼を勇気付けたかった私は彼に伝えるべき言葉を探していました。
もしかしたら「お前になにが分かる?」「余計なお世話だ」そんな言葉が返ってくるかもしれない。
でも、私はどうしても彼を放っておくことは出来ませんでした。
彼を励まそう。
そう決心した翌日、職場で彼のもとに向かいました。
吃音にも関わらず、いつもニコニコしていたH君でしたが”あの日”以来笑顔は消えていました。
たどたどしい話し方にも拍車がかかり、どこか近寄りがたい雰囲気でした。
私は思いました。
今の彼に「何でも相談に乗るよ。困ったことがあれば何でもはなしてくれよ」と言った所で一体何になるのだろうか?
余計プレッシャーを与え彼の不安を煽るだけになるんじゃないか?
たとえこの先私が、彼に温かい目を向けたとしても社会は私と同じように彼を扱うだろうか?
違う。
今の彼に必要なのは耳障りの良い言葉ではない。
その時私は彼のために出来る事を見つけることができました。
ただ、君と会話がしたい
私はひたすら彼に話しかけました。
毎日、来る日も来る日も。
仕事の話からどうでも良い話まで。
なんでも良いから彼に話しかけ続けました。
私が彼に伝えたかったことは、
「お前、全然普通だよ」
「俺ら普通に会話できてるよ」
「連絡や情報の交換がしたいんじゃない。ただお喋りがしたいんだよ。」
「待つよ。お前が言葉を出すのいくらでも待つよ」
そんなメッセージです。
その場で終わってしまうような優し言葉より、無意味な言葉でもとにかく彼と言葉のキャッチボールをしました。
H君は次第に私に心を開いてくれ以前の笑顔を取り戻してくれました。
もちろん無線係が彼に回ってくることはありませんでしたが、彼は以前に比べて私以外の人間にも話をしている光景をよく目にするようになりました。
私はただ単にH君のありのままを受け入れただけです。
それをH君は感じ取ってくれたのではないかと思います。
吃音もそうじゃない人も関係ない
吃音だろうがそうじゃなかろうが気にする必要はありません。
もしあなたの周りに吃音で悩んでいる人がいてどのような接し方をして良いかわからないのなら一言、
「吃音とか関係なしにありのままを受け入れ付き合う」ただこれだけだと思います。
吃音症の人は普通の人より話すのが苦手なだけです。
何も特別視する必要はありません。
ただ会話がスムーズにいかないことがあるとだけ覚えておいてあげれば良いのです。
吃音症に苦しんでいる人も自分が吃音だからと言ってそれを理由に塞ぎ込んだり負い目を感じる必要はありません。
例え器用に言葉が話せなくてもそれで自分の価値が決まるわけではありません。
上手くいかないことを吃音のせいにして、立ち止まるよりも、一旦吃音を受け入れ、そこから自分を良くしていこうと考える方が何倍も大事なことだと思います。
そうやって前を向いて進んでいけば良いのだと思います。
ちょっと長くなってしまいましまが、私は吃音の方を応援しています。
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